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「身体と夢」のポスター [工房の使命]

ずいぶんとブログをご無沙汰してしまった.一ヶ月ぐらいUPもしなかったから,忘れられてしまったかもしれない.一番の理由は,仕事場である工房の外仕事が切れ目無く続いたからである.
工房といっても自分独りがもっぱら運営するちっぽけなもので,私費をつぎこんでの非営利施設はほっとけばたちまち雑草が生い茂ってしまう厄介な荒地でもある.”アートと生命システムの探求”と見栄を切ったのはいいが,訪れる客も無く,松林の静けさが取柄といった環境では助っ人も逃げ出すだろう.その施設もこの十月で開設一周年を迎えた.ということは建物もほころびが出始めるころで,テラスやログ・ハウスの外壁,扉は強烈な紫外線や風雨を浴びて反り返り,ひび割れて腐食が深刻であることが判明した.テラスに置いたパラソルもカラスがつついてぼろぼろ,コンテナを利用した鉄製の建物は雨漏りが進行,ペンキは艶を失い亀裂が走っている.庭に敷いた砂利も浮き上がって坂道では滑りやすく,4月に骨折した悪夢が脳裏をよぎる.周囲の林は典型的な放置林で,漆の木やススキ,ヨモギが生い茂り,猛暑の中では恐るべき速さで緑の手足が伸びて行くのだ.片付けを怠った木片にはシロアリが巣食い,湿った物陰には必ずといっていいほどムカデが潜んでいる.エアコンの故障,浄化槽の手入れ,庭木の病気,と新たな仕事が休むことを許してくれない.強烈な太陽の下で蚊の襲撃に耐えながら仕事をしていると,汗が胸から滴り落ち,思考停止の中で自分の呼吸を確保するのがやっとという状態が何日も続いた.それが今ようやく夕暮れ時が早まるとともに冷たい冷気を感じるようになって来た.

 ともあれ,秋が深まり一周年の節目を通り越した.記念に何かをと制作したのが写真の工房紹介フライヤーとポスターである.工房の性格をシンボライズする詩;「身体と夢」,志田 寿人作をイメージしたものであるが,あまり具体的なな紹介にはなっていないかもしれない.興味の有る方はHPを訪問していただければ幸いである. http://www.symplexus.jp がURLで,こちらにはもう少し親切で詳しい紹介が載っている.

 フライヤーには以下の原詩が,ポスターには磯村 健氏の英訳詩が使われている.これを解説するのは野暮なことであろう.多義的な解釈が当然であるから,各自の受け取り方から自由に内容を展開していただきたいと思う.

水に生まれた者たちは時々夢を見る
数え切れない昼に,また夜に

目覚めているのは夜,それとも昼?
沢山の言葉が昼に生まれて夢を紡ぐ
そして夜に夢から覚める

父よ,僕に教えてくれ
歌わない者達がなぜいるのか
語らない者達がなぜいるのかを
 
不完全な目よ,耳よ
またぶざまな身体よ
空中を走る鳥たちが笑っている
意味も無く多くを喋る僕らを
ほんのわずかしか見えていない僕らを

何万行の完璧な記号に感動なんて
生きているということを納得させて欲しい
呼吸する僕に
少しずつ死に,
少しずつ生き返る僕に

涙は未来からの贈物と誰かがい言ったね
現在だけ,涙は必要ないと笑った君には
  凍りついた永遠が残される

太陽が輝く
日没が近いからだ

水に生まれた者たちは時々夢を見る
数え切れない昼に,また夜に         

          「身体と夢」, 志田 寿人,2006

The water-born creatures dream a dream
On thousands days,
On thousands nights

Are they awaking at night or day?
A lot of words rise up to daylight and spin a dream
And wake up from dream on nighttime

Father, Let me see
The reason of there is un-singing one
The reason of there is un-talking one

Incomplete eyes, ears
And clumsy my bodies
The birds riding in the air, Laughed on us
So much speak without meaning,
So little thing gain out from seeing

Is there any emotion on thousands of thousands complete fomula?
Persuade to me
Exactly I am living,
To me, now breathing,
To me,
Moment by moment to die,
Moment by moment to revive

Some says, the tear is a gift from the future
But you, say
Only the present is needed, and 
You laughed tear is so useless
Only the frozen future remains on
 
The sun shines
Cause the sunset is coming 
 
From water-born creatures dream a dream
On thousands days,
On thousands nights  

Original poem; “身体と夢(BODY AND DREAM)”in Japanese  bY Hisato Shida,  2006
             English translation: Ken Isomura


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