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■意識的にでも無意識的にでもなく [絵画制作と絵画論]

●今回仕上げた一号程度の小品は抽象度が過激ではなく,
比較的なじみやすいものに仕上がったように思う.結婚祝いの
記念品としての作品だから,自分の勝手な好みを暴走させるのを
抑制したのかもしれない.とは言っても懸案の追求を放棄した
わけではないので,制作に集中しているといろいろ今後の方向性
についてヒントを得ることが出来た.

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「non-voluntarily non-involuntarily」, Hisato Shida 作, 2010年11月16日,合板に水性塗料

●対象を特定しないということで一般には描画の発想を,無意識に
湧き上がる泉の中から熟成を待って汲み上げるイメージを持たれる
方が多いのかもしれないが,僕の場合は必ずしもそうではない.

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「non-voluntarily non-involuntarily」部分, Hisato Shida 作, 2010年11月16日,合板に水性塗料

●無意識で絵具と板切れに向かい合っていることは確かであるが,
それとは別に何ヶ月もまるで強迫神経症のように響き渡っている
手に負えない難問が有って,これはもろもろのテキストやモノグラフ
の批判的検証,映像や体験の引用を含む意識の奔流の中で
もがき苦しみ浮沈している.
絵画を孤立した感覚の特殊な領域として割り切る考えかたもあるが,
絶え間なく流れ込んでくる情報の荒波と制作とは無縁ではなかろう.

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「non-voluntarily non-involuntarily」部分, Hisato Shida 作, 2010年11月16日,合板に水性塗料

●しかし他方ではそのような時代感覚に左右されない絶対的とも
いえる世界を感じる瞬間が有って,それが季節の移ろいや
梢を渡る風の音,光や闇が織り成す目に見えない織物と
共振して胸が苦しく成る時がある.こういったことは皆森の中
の幻想にすぎないのかもしれないのだが・・

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「non-voluntarily non-involuntarily」部分, Hisato Shida 作, 2010年11月16日,合板に水性塗料


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