夏の終わりに [作曲]
夏を人生の華と捉える視点は珍しくない.若さや活力への礼賛でもある.
虫たちがせわしく飛び交い,林はセミ達の鳴き声で終日明け暮れる.
日は高く天空にあり,影の無い風景の中に生きることの陰影など蹴散らされそうだ.
英語ではsummerを歳の意味で使う場合があるが,これは人生の盛りにある
人達に限られている.苦渋を重ねた老年に対しては対極である冬;
winterが用意されていて逃げようがない.しかし,これはいかにも月並みな
見方とは言えないだろうか.
生と死は画然と区別された瞬間に突然来るわけでは無い.燃えることに
よって,つまり絶えざる死の積み重ねによってしか生を維持することはできない
ことを詩人アルセーニー・タルコフスキーは蝋燭と重ねている.
黄色い舌をゆらめかせ
蝋燭がゆっくりととけて流れてゆく.
そうやって僕たち二人も生きているね,
魂は燃え,肉体は融けてゆく.
「雪が降るまえに」 アルセーニー・タルコフスキー著,坂庭敦史訳,鳥影社,p8
燃え尽きる瞬間は夏の只中にも顔をのぞかせる時がある.盛夏の庭に
無造作に転がっている干からびたセミの死骸,その遠景にはかげろうが
揺れ近景には死体にむらがるアリ達がいる.影の少ない風景はむしろ
僕等の感覚への幻惑の証だ.そして,誰の目にも明らかな早まる日没,
力を日ごとに弱めていく日輪の季節,秋こそ考える季節の到来と言えない
だろうか.
曲はいささか変化の少ない曲,タイトルは”an epilogue of the summer"
symplexusさんは作曲を始めたばかりという事ですが
既にちゃんと曲になっているのが凄いと思います。
作曲のペースなどを考えるとACIDはとても便利な
ソフトなのでしょうね。
私自身、こういう音響的な音楽も是非作れる様になりたいと
試行錯誤しているのですが、どうも機械に弱い為か
上手く行かなくて、今もなんとかアナログ(モデリング)
シンセの使い方を勉強している様な状況で程遠いです。
新作を楽しみにしています。
by youki (2007-09-26 01:45)
youkiさん
アクセス,nice,それにコメントまで,ありがとうございます.
このACIDに関して言えば,機械と言ってもPCが少々高性能
であればなんとかなりますよ.音源を切ったり貼ったり,それが
納得行く流れになるのかどうかということと,トラック数は無制限ですので
音の重層におぼれないようにするのがむしろポイントでしょうか.
とは言っても,10を越えるトラックなど平気でこなしていくので,
アナログの調達では絶対不可能な最高”メンバー”を組み合わせる
贅沢には隔世の時代と驚きを感じています.
シンセが使えたり,アナログ系の弦やボーカル,ピアノなどを一つでも
組み合わせたらそれこそ可能性は何倍にもなるでしょう.
僕の次の目標は叙事詩のようなものを語りながら,
琵琶法師のように連続的にボーカルに入り,
ついであらゆる音響を組み合わせながら一つの物語を展開することです.
でもこの声では皆逃げ出すでしょうね.
しばらくはでかいことを言わないで修行します.
by symplexus (2007-09-26 10:09)
この曲いいですね^^
by moo (2009-07-19 00:36)
mooさん
ナイス&コメントありがとうございます.
もう長い期間ネットからのレスポンスが無かったので,
こんなところかなと思っていました.
同じ季節がそろそろめぐって来たので,
自分ではまた楽しんでいます.
時々聴いていただければ幸いです.
by symplexus (2009-07-19 09:16)